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業務内容

養父市森林組合は林業事業体ですが、林業と言われても農業・漁業と比べて、いまひとつ何をしているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。


林業は、経済的な利用を目的として樹木を伐採し、木材などの林産物を生産する産業です。

植物を植え、育て、収穫するという流れは農業をイメージすると分かりやすいと思いますが、林業では収穫に至るまでに数十年と非常に長い時間がかかります。「親が植え、子が育て、孫が伐る」という言葉があるように、壮大なスケールの仕事です。

そして、その壮大なスケールの中で行われる作業ひとつひとつが、森林の保全にも繋がっています。森林には、水を貯え浄化する「水源涵養機能」や、土砂崩れを防止する「土砂災害防止機能」、二酸化炭素を吸収する「地球環境保全機能」など、様々な公益的機能があるとされており、環境問題が深刻化する現代において森林の重要性が再認識されています。このような機能を持続的に発揮しつつ、資源の循環利用を実現するため、健全な森林の造成を進めていく必要があります。

ここではそんな林業が具体的にどのようなことをする仕事なのか、詳しくご紹介します。

森林整備

地拵え

将来的な木材の収穫に向けた第一歩となるのが地拵えです。
多くの場合、植栽する前にそこに生えている草木を伐採や刈払いにより取り除きます。その際に発生した草木の枝葉を等高線上に集積し、整理する作業が地拵えです。この方法は地拵えの中でも「棚積み地拵え」と呼ばれます。足場ができることでその後の作業がしやすくなると同時に、土壌の流出防止や、積雪の多い地域では雪がずれ動くことによる植栽木の損傷を防ぐ効果もあります。また、枝葉が分解されることで栄養分の供給源にもなるため、植栽木の成長にも良い影響を与えます。

作業風景1

施工事例

Before
before1 (2)
After
after2 (2)

植栽

地拵えが完了した後に植栽を行います。植える樹種や本数(植栽密度)、植栽時期などは、土地の条件や将来的にどんな山にするのかを考慮して決定します。
同じ樹種の中でも様々な品種がある場合があります。スギを例にすると、ほかの個体に比べて成長が格段に早い「エリートツリー」と呼ばれるものや、花粉を飛ばす量が少ない「少花粉スギ」など、特異な性質をもった品種の開発が進んでいます。現場の状況や森林所有者の意向も考慮しながら適切な樹種を選択することが、その後の作業を円滑に進めるためにも重要です。
なお、養父市はシカの生息数が多いため、植栽する前に獣害防護柵などの獣害対策を行い植栽木を保護します。この作業を怠ると、植栽木はシカにあっという間に食べられ、甚大な被害が出てしまいます。近年ではシカによる食害が再造林を阻む大きな要因の1つとなっています。

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植栽-ネット張りイメージ

施工事例

Before
植栽前
After
植栽後

下刈り

植栽木は植えれば勝手に大きくなるものではありません。下草の成長速度は凄まじく、放置すれば植栽木はすぐに背丈を越され、太陽光を遮断されてしまいます。
そこで、植栽木の背丈が下草を上回るまでの数年間、毎年夏に下刈りを行います。ベテラン技術者でも暑さで悲鳴をあげる作業です。
それなら涼しい時期にすればよいのではと思われるかもしれませんが、真夏に行うことには理由があります。この時期は、植物が前年から蓄えていた栄養を使い果たし、来年へ向けた蓄えを始める前の時期にあたります。再生力が弱まっているこの時期に刈り取ることで、下草に大きなダメージを与えることができ、その後の勢いを抑える効果が期待できます。

施工事例

Before
before3
After
after3

枝打ち

良質な木材を生産するため、木の下部に生えた枝、枯れた枝を取り除く作業が枝打ちです。
枯れた枝をそのまま放置しておくと、幹の成長に伴って木の内部に巻き込まれていき、木材に加工したときに「死節(しにぶし)」と呼ばれる黒ずんだ痕になってしまいます。最近では節を模様としてあえて取り入れることもあるようですが、一般的にはこれがあると木材としての価値を落としてしまうため、枝打ちにより未然に防ぎます。また、葉の量が減ることで1年当たりの成長量が抑えられ、年輪幅の狭い丈夫な木材になります。
その他にも、林内に太陽光が入ることで下層植生の成長を促したり、枯れ枝から侵入する虫による食害を防いだりと、一見地味な作業ですが、枝打ちも森林づくりの重要な工程です。

枝打ち1
枝打ち3

施工事例

Before
before4
After
after4

保育間伐

木が成長してくると林内は次第に狭く、暗くなっていきます。さらに大きく成長するために必要不可欠な広い空間と豊富な太陽光を確保するため、枯れ木や状態の悪い木を伐採し間引く作業が保育間伐です。
人工林はその名の通り人間が作り出した森林であるため、適正な密度になるよう管理し続けなければ、細く弱々しい木ばかりの不健全な森林になってしまいます。
間伐後の明るい林内は、植栽木以外にも様々な植物を育む豊かな森林へと変化します。豊富な植物が育つことで生物の多様性が生まれ、土壌が発達することできれいな水を作り、張り巡らされた根により土砂崩れを防ぎ、二酸化炭素を吸収することで地球温暖化の防止にもつながります。
このような様々な恩恵を受けるためにも、定期的な手入れで森林を健全に保つことが非常に重要です。

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施工事例

Before
before_1
After
after_1

搬出間伐・主伐

戦後の拡大造林で植栽された人工林は、すでに収穫する時期に入っています。林業の最終目的である木材の収穫は、主に搬出間伐や主伐によって行われます。
搬出間伐は収入間伐や利用間伐とも呼ばれ、間伐した木を木材(間伐材)として搬出する作業です。間伐の一環として行うことで健全な森林整備が促進され、資源としての木材の生産も同時に行うことができます。
主伐は木材の収穫を目的とした伐採です。対象のエリアに生えている木を全て伐採する「皆伐」や、基準を満たす木のみを伐採する「択伐」などの方法があります。「皆伐」を行った場合、地拵え、植栽と続く新たなサイクルがスタートします。
いずれの方法でも、現代の林業においては「高性能林業機械」という木材の造材・搬出に特化した重機を使って木材生産を行うことが一般的になっています。当組合では、伐倒から造材、集積まで1台で行うハーベスタや、林内から土場(木材を一時的に保管しておく場所)まで木材を運搬するフォワーダなどの高性能林業機械を導入しています。

work (3)

施工事例

Before
皆伐前
After
皆伐後

作業道開設

搬出間伐の説明で登場した高性能林業機械ですが、もちろん普通の山にいきなり重機は入れません。まずは、大型の重機が安全に通れる森林作業道を開設します。
路線の計画にあたっては、搬出するエリアの木を網羅的に収穫できるよう線形を組み、地形や地質、水道施設の有無などを考慮して設計します。
実際に開設する際は、地形の改変は最小限にすることで林内環境を極力保持するよう心がけ、構造物にも現地発生材を使用するなど環境にやさしい作業道づくりを目指しています。また、水が流れ出ている場所では、開設した作業道が雨などで浸食される恐れがあります。作業道は将来にわたって繰り返し利用するため、崩壊することがないように適切な排水処理を行うことが重要です。

作業道開設

施工事例

Before
before5
After
after5

林相整備

林相整備は広葉樹林や竹林、手入れ不足で荒れた森林を整備する作業です。
放置された広葉樹林や竹林の多くは暗く鬱蒼としています。このような森林では下層植生が衰退して土壌が流出したり、住宅地近郊の場合は野生動物の隠れ家になることで、人と野生動物の接触機会も増加します。
そのような林内環境を改善するため、生い茂ったササや低木を刈払い、込み合った木々を伐採して間引きます。倒れた場合に被害が出ると予想される危険木も併せて伐採し、防災面も考慮して作業します。
林相整備は作業前後の違いが非常に分かりやすいです。林内は明るく見通しが良くなり、見違えるほどすっきりとした山へ変わります。

work (4)

施工事例

Before
before (2)
After
after (2)

危険木伐採

森林組合の職場は山の中だけではありません。住宅や墓地の近くで倒れてきそうな危険木の伐採も行っています。
危険木伐採は山で行う伐採とは異なり、容易に伐採できない環境で作業を行います。特殊牽引具で伐倒方向を調整する方法や、伐倒できない場所では人が木に登り、上から順に少しずつ伐っていく「トップカット」という方法を取ることもあります。
木に登るときや、木の上で伐採した枝や幹を下に落とさないようコントロールするときなど、危険木伐採で最も重要な技術がロープワークです。樹種や状況に合わせて適切なロープを選択すること、ロープの扱い方を熟知した上で、適切なセッティングができることが非常に重要です。危険木伐採は高い伐採技術に加えて、様々な知識と豊富な経験を要する作業です。

危険木伐採1
危険木伐採2
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施工事例

Before
危険木伐採前
After
危険木伐採後

ドローンの活用

当組合では先進的な技術も積極的に取り入れています。令和2年にはドローンを導入しました。
従来通り人が歩いて調査することの重要性は変わりませんが、上空から作業前と作業後にそれぞれ撮影して比較したり、おおまかな林分(樹種構成や林齢が周りと異なるひとまとまりの森林)を把握する際に活用し、業務の省力化に繋がっています。
また、森林所有者からの依頼を受け、所有されている山林の現況調査も行っています。

ドローン活用

施工事例

Before
ドローン作業前
After
ドローン作業後

GNSS測位機器の活用

GNSS測位機器を用いた測量も行っています。
GNSSとは「Global Navigation Satellite System(全世界測位衛星システム)」の略称で、アメリカの「GPS」や日本の「みちびき」をはじめとする各国の測位衛星システムの総称です。
現在、地球の上空には100機を超える人工衛星が周回しています。これらが発する電波を受信してGNSS測位機器の位置情報を割り出すのがこの測量方法です。複数の衛星の電波で補正をかけることで、誤差の少ない高精度な位置情報を得ることができます。
これまで測量には必ず2人必要でしたが、この方法だと1人でも実施できるため、現場の状況などに合わせて柔軟に対応できるようになりました。

販売・購買

一般用材

搬出間伐や主伐で伐り出した木材は、近隣の木材市場に持ち込みます。
木材市場では製材業者などが集まって競りが行われ、競り落とされた先で、香り豊かな、温かい手触りを残す木製品・建築材などへと生まれ変わります。

木材3
木材2
木材

薪の販売

森林を整備する過程で伐採した間伐材・広葉樹を、薪に加工して販売しています。

 

薪の販売ページはこちら

薪1
薪2
薪3
薪4

購買品

林業用資材や屋外作業に役立つ商品などを取り扱っています。

 

林業用品の紹介ページはこちら

パワー森林香
ヤマビルファイター
クサビ

林業に関する講習

林業教室・安全作業講習会

森林や林業に関する講習会や、現場で間伐などの作業を体験してもらう林業教室を実施しています。これまで県内の多くの小学校や地域のイベントなどから依頼を受け、幅広い世代の方々に林業教室を行いました。
また、森林整備のプロとして、刈払機・チェンソ―の安全な使用方法に関する講習会を、依頼を受けて実施しています。
内容などはご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。

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